納骨堂てらすには、樹木葬との比較で来られる方がいらっしゃいます。そこで話を聞くと多くの方が、勘違いされていることに気が付きました。今回は、「樹木葬のイメージと現実」についてお伝えします。
今、流行りの樹木葬
全国調査によると2024年に選ばれたお墓の種類は、今まで一般的だった石のお墓を抑えて樹木葬が1位になり「樹木葬」という言葉をテレビやマスコミでも耳にすることが増えています。ここ静岡県富士市でも樹木葬を寺院や霊園で目にするようになりました。将来、お墓を受け継ぐ方がいなくても安心、安価に納骨できるという気軽さがうけて、広がる一方で「思っていたのと違う」「納骨堂と比較してから選べばよかった」など、想像していたことと、実際は異なるというネガティブな意見をお聞きすることがあります。
そこでお墓の専門家の私が、樹木葬を選ぶ注意点をお伝えします。
樹木葬の定義は法律上は存在しません。
しかし、今回は私なりに「一般的にイメージする樹木葬」上げてみます。
・墓石の代わりに樹木や草花を想いを向ける対象にする
・自然に還る形で納骨する
・永代供養かつ宗派に関係なく預けられ、安価である
などの共通特徴があります
急増する都市型・プレート付き樹木葬
現在は都市型・プレート付きの樹木葬が急増し、利用者が急拡大している状況です。
都市型・プレート付き樹木葬とは、地面より高く立ち上げた敷地の中にお名前の彫刻を入れた石材のプレートを並べるもの。
高さのある囲いの上にパソコンのキーボードのようにプレートが並んでいるイメージです。
静岡県近郊、富士市、富士宮市にある樹木葬もこのタイプで樹木や草花のない、石材のプレートが並ぶ樹木葬がほとんどです。省スペースに小さなプレートを並べ、出来るだけ多く納骨できるように設計された都市型の樹木葬。この都市型・プレート付きの「樹木葬」が多くの方の誤解を招いています。
実は、上記の私が上げた「一般的にイメージする樹木葬の共通点」とは異なります。
その問題点についてお話します。
1、「樹木葬」なのに樹木がない
樹木葬は「桜の木の下で眠る」「ご遺骨が樹木の養分になる」というイメージを多くの方がお持ちです。しかし、現実は”樹木がない”、”あっても植木程度”。または”周りに草花を植えている”という現実。そのような樹木葬という名前からは程遠いものが後を絶ちません。
これは家族制度の変化、少子化、核家族化の影響で代々継いでいくお墓が建たなくなる中、寺院や石材店が「樹木葬」という自然葬を連想させる言葉を使い集客します。そして、実際に見学に行ったら思っていたのと違ったという声をよく聞きます。
2、自然に還らない
樹木葬を選ぶ方の多くは、「土に還りたい」「人も自然の一部」という自然志向をお持ちでお骨を残したくない、慣習や伝統に縛られず自分の入る場所を決めたい。残された家族に負担なく自分で最後を選択したいという願望をお持ちです。
しかし、都市型・プレート付きの樹木葬は土に還ることはありません。
お名前の彫刻されたプレートの下の納骨スペースがありそこにご遺骨を納め、契約された年数が来るとそこから取り出され、決められた集合墓へ合祀されます。合祀とは他の方のご遺骨と一緒に埋葬され混ざること。その後はお骨を取り出したくてもできなくなります。
合祀スペースの下は、コンクリートになっていることが多く、ご遺骨はコンクリートの上に積みあがっていくので土に触れることがありません。
また、ご遺体が火葬場で高温で焼かれることによって、遺骨(焼骨)は土器や陶器と同じようなセラミック状に変化し、土に還りにくくなります。このセラミック化が原因で、焼骨は土壌の微生物によって分解されず、土に埋めても自然に還るには非常に長い時間がかかります。
要するに、樹木葬でお骨が土に還ることはほとんどありません。

まとめ
代々継いでいく墓石が重荷に感じる方にとって「樹木葬」は気軽さを感じ、日本人の自然崇拝も重なりイメージが先行しています。その聞こえの良い言葉で集客しやすいというビジネス面から樹木葬とは呼べない樹木葬が増えています。省スペースで、始めやすいという点から寺院や霊園が一気に広げ、今、一番選ばれるお墓になっています。
永代供養が付き、お墓や納骨堂よりも安価なのも、選ばれる理由ですが、その安置期間の短さ、一度、合祀されると取り戻せないというリスクがあることも認識しておきましょう。
チラシやインターネットの情報だけに頼らず、ご自身の目でどのような樹木葬なのかを見学し、どのような形で何年間、安置されるのか?合祀スペースはどうなっているのか?
お寺や管理者に気になる事は全て、聞くことをお勧めします。
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